ロイヤルブラックラー21年

【王に愛された始まり──ロイヤル ブラックラの誕生】

スコットランドのハイランド地方に位置するロイヤル ブラックラ蒸留所は、
1812年にウィリアム・フレーザー大尉によって創業されました。

ナポレオン戦争から帰還したフレーザーは、農地経営とともに高品質なモルトウイスキーの蒸留に乗り出します。

当時は密造酒が横行し、正規の蒸留所は少数派でした。
そんな中、フレーザーの作るウイスキーは群を抜いた品質で評判となり、ついには国王ウィリアム4世の目に留まることに。

1833年、ブラックラ蒸留所はスコッチ史上初の“ロイヤル”称号を授かります。
この歴史的快挙により、ロイヤル ブラックラは「王に愛されたウイスキー」として、
今も語り継がれています。

【ロイヤルの名を守り続けた蒸留所の栄枯盛衰】

「ロイヤル」の称号を授かった後、ロイヤル ブラックラ蒸留所は王室御用達のウイスキーとして、その名を広めていきました。

ビクトリア女王もしばしば王室行事で供されたと語られ、19世紀から20世紀初頭にかけては、まさに王室の晩餐に欠かせない存在だったのです。

しかし、20世紀に入ると蒸留所は幾度かの試練に直面します。
第一次・第二次世界大戦による生産停止、スコットランド全体を襲った経済不況、
さらには設備の老朽化といった困難が続きました。

一時は閉鎖の危機にも瀕しましたが、王室に納められていた“格式ある味”を途絶えさせまいと、地元の職人や関係者たちの努力によって蒸留所は再建されました。

その後、ロイヤル ブラックラはブレンデッドウイスキーの重要な原酒として、
多くの有名ブレンドに使われるようになります。その結果、シングルモルトとしては表舞台に出ることなく、“知る人ぞ知る”ウイスキーとなっていきました。

【21年の時を経て蘇る“王の香り”──現代のロイヤル ブラックラ】

2000年代以降、ロイヤル ブラックラは新たな脚光を浴び始めます。
所有会社のバカルディと、その傘下にあるジョン・デュワー・アンド・サンズが、
シングルモルトとしての価値を再発見したのです。

その象徴が「ロイヤル ブラックラ21年」。
21年の長期熟成によって生まれる華やかで繊細な香り、上品なバニラと果実味、そしてシルクのような口当たりは、まさに“王の香り”とも言える完成度です。

加えて、この21年熟成にはヨーロピアンオークのシェリー樽が使われており、リッチで奥行きのあるアロマが特徴です。
現代においてもなお「静かなる王室モルト」と称される理由は、この唯一無二の品格にあります。

今や、ロイヤル ブラックラは世界中のウイスキー愛好家から再評価されつつあり、
“幻の王室モルト”が再び輝きを取り戻しているのです。

【「ロイヤル」の称号を授与されたウイスキー】

現在公式にこの称号を持つウイスキー蒸留所は、歴史的にたった3つだけです。

🥇ロイヤル ブラックラ
(Royal Brackla)
称号授与年:1833年
授与者:ウィリアム4世
特徴:史上初の「ロイヤル」称号を授かった
ウイスキー。
まさに「王のモルト」と呼ぶにふさわしい存在。

🥈 ロイヤル ロッホナガー
(Royal Lochnagar)
称号授与年:1848年
授与者:ヴィクトリア女王
特徴:女王がバルモラル城訪問時に
蒸留所を見学し、
気に入ったことから「ロイヤル」の名を
賜りました。
現在も女王の別荘に近く、
格式ある蒸留所。

🥉 グレンユーリーロイヤル
(Glenury Royal)
称号授与年:19世紀中頃
(正確な年は不明)
授与者:ヴィクトリア女王
特徴:すでに閉鎖された蒸留所ですが、
かつては「ロイヤル」を冠していました。
ボトルは非常に希少で、
オークションで高値がつきます。